日誌

地学部日誌

虫眼鏡 校内石めぐり③

 「自然は面白い。興奮・ヤッター!
 地学を学ぶことの土台に、この考えがあります。そして、このことが自然を真似ることに人間を向かわせました。「学ぶ」ことの始まりは「真似(まね)ぶこと」だと言われます。前回紹介した石灰岩は、人間が石を真似るための材料「セメント」の原料として利用されています。
 中庭の片隅に見慣れない石があります(中庭の写真には写っていませんが写真の→の先にあります)。

矢印の先に正体不明の石が…
                 このあたりに…

 一見すると「礫岩(れきがん)」のようです。
 礫岩は堆積岩(たいせきがん)の一種です。見慣れた小石からひと抱えもある大きさ(数値的には2mmから1mちょっと)までの石が、だいたい同じ大きさどうしで集まって(堆積して)固まったものがよく見られます。さて中庭のこの石、どうでしょうか?

これ、礫岩?
アップすると… ↓
小石が あっ、小石が。 いっぱい。

 実はこれ、「コンクリート」なのです。砂と小石、そして例の「セメント」を水で混ぜ合わせて固めたものです。礫岩(↓)によく似ていると思いませんか?そう言われると「なるほど…」と思うでしょう。

 こちらホンモノの礫岩
矢印の先が礫です。いっぱい入っています。
←画面幅約80cm→

 この「礫岩顔したコンクリート」は角がしっかりある形をしていますからコンクリートだとすぐにわかりますが、これが山の中でカドの取れた形で出てきたら「ほとんど礫岩」です。地質調査でこれが出てきたりすると「えっ!!何でこんなところに礫層が!?」と混乱すること間違いなし。何せ本物の石を真似て人間が作ったもの(もちろん、構造物として)ですから、似ていて当然。ちなみに堆積岩が固まる過程を専門用語で「続成作用(ぞくせいさよう)」といいますが、この石が固まるしくみには前回も登場したCaCO3(炭酸カルシウム)というセメントと同じ成分が関わっていますから、できあがったものが似ているのも仕方ありません。自然が何千年、何万年、ときには何億年もかけて作り上げるものを人間が数日で作ってしまうのです。ただ、その「即席」がたたって壊れるのも早くなります。使っている材料にもよりますが、一例として1964年のオリンピック東京大会にあわせて建設された首都高速道路や東海道新幹線のコンクリート構造物に、50年たってあちらこちらで劣化(ひびやはがれ)が見られるようになったと最近のニュースで報じられました。
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 自然が作り上げるものには、私たちの力が及ばないエネルギーや時間尺度が込められているといえるでしょう。また、自然の石はそれが造られた場所について多くのことを教えてくれます。例えば前々回のチャートや前回の石灰岩は深海底で造られたことを教えてくれます。礫岩は礫の大きさや形、礫種(含まれる礫の種類)によって異なりますが、丸い礫の場合はかつてその場所が、陸に近い比較的浅い海や湖、河川であったことを教えてくれます。