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2017年7月の記事一覧

虫眼鏡 校内石めぐり③

 「自然は面白い。興奮・ヤッター!
 地学を学ぶことの土台に、この考えがあります。そして、このことが自然を真似ることに人間を向かわせました。「学ぶ」ことの始まりは「真似(まね)ぶこと」だと言われます。前回紹介した石灰岩は、人間が石を真似るための材料「セメント」の原料として利用されています。
 中庭の片隅に見慣れない石があります(中庭の写真には写っていませんが写真の→の先にあります)。

矢印の先に正体不明の石が…
                 このあたりに…

 一見すると「礫岩(れきがん)」のようです。
 礫岩は堆積岩(たいせきがん)の一種です。見慣れた小石からひと抱えもある大きさ(数値的には2mmから1mちょっと)までの石が、だいたい同じ大きさどうしで集まって(堆積して)固まったものがよく見られます。さて中庭のこの石、どうでしょうか?

これ、礫岩?
アップすると… ↓
小石が あっ、小石が。 いっぱい。

 実はこれ、「コンクリート」なのです。砂と小石、そして例の「セメント」を水で混ぜ合わせて固めたものです。礫岩(↓)によく似ていると思いませんか?そう言われると「なるほど…」と思うでしょう。

 こちらホンモノの礫岩
矢印の先が礫です。いっぱい入っています。
←画面幅約80cm→

 この「礫岩顔したコンクリート」は角がしっかりある形をしていますからコンクリートだとすぐにわかりますが、これが山の中でカドの取れた形で出てきたら「ほとんど礫岩」です。地質調査でこれが出てきたりすると「えっ!!何でこんなところに礫層が!?」と混乱すること間違いなし。何せ本物の石を真似て人間が作ったもの(もちろん、構造物として)ですから、似ていて当然。ちなみに堆積岩が固まる過程を専門用語で「続成作用(ぞくせいさよう)」といいますが、この石が固まるしくみには前回も登場したCaCO3(炭酸カルシウム)というセメントと同じ成分が関わっていますから、できあがったものが似ているのも仕方ありません。自然が何千年、何万年、ときには何億年もかけて作り上げるものを人間が数日で作ってしまうのです。ただ、その「即席」がたたって壊れるのも早くなります。使っている材料にもよりますが、一例として1964年のオリンピック東京大会にあわせて建設された首都高速道路や東海道新幹線のコンクリート構造物に、50年たってあちらこちらで劣化(ひびやはがれ)が見られるようになったと最近のニュースで報じられました。
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 自然が作り上げるものには、私たちの力が及ばないエネルギーや時間尺度が込められているといえるでしょう。また、自然の石はそれが造られた場所について多くのことを教えてくれます。例えば前々回のチャートや前回の石灰岩は深海底で造られたことを教えてくれます。礫岩は礫の大きさや形、礫種(含まれる礫の種類)によって異なりますが、丸い礫の場合はかつてその場所が、陸に近い比較的浅い海や湖、河川であったことを教えてくれます。

虫眼鏡 校内石めぐり②

 関東地方も梅雨が明け、いよいよ本格的な夏に入りました。晴れ
 第2回校内石めぐりは多くの教室から見える中庭の石たちです。

中庭(遠景)
 この石たちは4年前(2013年4月)本庄北高校と本庄高校が統合したときに、本庄北高から譲り受けた石たちです。本庄北高ではどのようないきさつで(もちろん石が勝手にやってきたわけではありませんが…)どこからやってきたのか分かりませんが、統合の結果本庄高校に落ち着き場所を得たことは確かです。
 7つの石はどれも埼玉県では秩父周辺で見ることのできる石ばかりですから、地元の石屋さんから仕入れたものであることは間違いないでしょう。
 さてその中のひとつ、中央にひときわ目立つ石があります。
     石灰岩01      石灰岩02
前回のチャートと同様に、秩父ではなじみの石「石灰岩」です。さてここで質問。みなさんは、秩父には近代日本、さらに戦後の日本を支えた石灰岩の山があることをご存じでしょうか?
 そう、秩父のシンボル「武甲山」です。
 武甲山はまさに「我が身を削って」日本の戦後の発展に寄与しました。その山体の北側が良質の石灰岩でできている武甲山からは大量の石灰石が掘り出され、コンクリートやモルタルの原料である「セメント」が作られて国内だけでなく海外にも送り出されていった歴史があります。もしかすると本庄高校の校舎だって、武甲山の石灰岩から作られたかも知れません。
 石灰岩の化学組成はCaCO3(炭酸カルシウム)です。原料は何かというと、貝やサンゴそのほかの海の生物の遺骸、場合によっては大気の中のCO2(二酸化炭素)と海水中のCa(カルシウム)です。つまりそのふるさとは「海なし県の埼玉」にはない「海」そのものです。くわしい説明は省きますが、遠い遠い太平洋の深い深い海の底がふるさとなのです。
 中庭の石灰岩がどこで採れたものかは永遠にナゾですが、その成り立ちは武甲山の石灰岩と大きくは違わないはずです。とすると、この石灰岩にも太平洋の海底のなごり…場合によっては「化石」が見つかるかも知れません。地学部に入って調べてみませんか絵文字:笑顔
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 入部勧誘はさておき、石って調べれば調べるほど不思議なものです!!

虫眼鏡 校内石めぐり①

 本高の校内にある(もちろん庭石として設置してあるものです)大きな石を紹介していきます。
 記念すべき第1回は埼玉県に見られる石としてはきわめてポピュラーかつバラエティに富んだ「チャート(chert)」です。かつて着火道具がさほど多くなかった時代には「火打ち石」として鋼(はがね)と打ち合わせて利用されたものもあります。時代劇などで見ることもあるでしょう。現在もごく一部で「厄払い」的な利用をすることもあるようです。
 さて、くだんのチャートですが、図書館前の花壇に「ど~ん!」と鎮座しています。高さ1m70cmくらいある総重量何トンもの、縮緬皺(ちりめんじわ)のような模様のある赤色層状のチャートで、「昭和58年度卒業記念」の銘板がはめ込まれています。
chert01  chert02  chert03

chert04  銘板